雑感: 『けだものフレンズ』装丁の産みの苦しみ
4月20日(土)の文学フリマ金沢に向けた新刊『けだものフレンズ』の装丁について、いろいろ思ったことがあったので覚え書き。
決定案
前回の反省を活かそうと、フォロワーにお姉さんの絵をもらって作成(@1ppen4nde3ru氏)。
・中心的なモチーフを置く、人物が望ましい(視線が集まるから)。
・パッと見てテーマが伝わるものにする(マストな条件)。
といったあたり、わりと意識。上手くいったかもしれない(気持ち)。
初期案(ボツ)
最初に出した、自分のやりたいことを押し出したデザイン案はあまり良い感触が得られなかった。芸術しすぎた感じがある。敗北だった。試合に勝って勝負に負けたわけだ。
・方向感覚の喪失/不安定感
・壊れた色彩感覚
・空間を広く使う/遠近感
・荒野と水着のお姉さんのミスマッチ感/架空の存在として配置
といったところから
「暴力で崩壊した世界のさっぱりした風景」
「かわいくてスケべなMAD MAX」
といったニュアンスを出したかったけど、配色のことで迷走したり、構図が決まりきらなかったり、どうも上手くない。似たような横向きのデザインの装丁をもっと取材するべきだった。これはこれで好きだが、適しているかというと適していない。難しい。めっちゃ難しい。
素直に横向きに直して当日ブースに貼るポスターになった。これはかなり悔しい。後輩に見てもらった時に「やっぱり縦向きだとパッと見て何が写っているのかわからないですよね〜」と言われ、まぁそうやな…あれ…それがやりたかったはずなのだが????と思って、そもそもの目論見が良くなかったことを知る。う〜ん。
苦しみ
・暴力のニュアンスを出すためには赤系統の色を使うべき
=青系統の沈静色は避けたい。
・爽やかさを出すためには青系統の色が必要。
・色彩感覚は壊したいので普通あり得ない色を置く
→人物と地面は青、空は赤。
・配色が限定されすぎて厳しい。色数を増やせない。
こういう点に苦しんだ末のボツだった。ちゃんと自分の力量にあったデザインをやらないと上手くいかんなぁ〜と。
P.S. 参考
かっこいいと思ってなんとなく念頭に置いていたのは伊坂幸太郎『グラスホッパー』(文庫版)の装丁(なんとなくで念頭に置くのはよくない)。これ、よく見ると色彩が目立たないように落としめで統一してるし、要素も写真1枚ベタって貼っただけだし、これぐらいシンプルにしないと横向きにするというアイディアは使えないのかもしれない。思ったよりも大技なんだなぁ……。俺は盛りすぎた……。
うわめっちゃ恥ずかしくなってきた(恥は書き捨てにしていきたい)。