smkw's diary - 名称未設定 のコピー 2

日記などその他雑感、眠れない夜の衝動的な書き物。

日記: 190402-190408_交渉人とスパイダーバース

金がないので自然にやることがなく、生活を構成する要素が勉強とAmazonPrimeの映画と読書に限られる。退職手続きを遠隔で進めつつ、入社手続きを郵送でこなしてしまうと、あとは本当にやることがない。文フリ金沢の原稿も仕上がって、昨日入稿を果たした。したがって退屈しのぎに日記の更新頻度を上げてしまう。

 

傷病手当金の申請書に一箇所不備があり、月々の入金が滞っている。少し遅いので嫌な予感があったが、訂正印が一つ抜けているということで、3週間前に郵送した書類がまた郵送で帰ってきて、この組合は頭がわいているのかと思った。

とはいえ、まっとうな労働者から少しずつ集めた大事な金を使っているので、手続きが厳密になるのは仕方がないし、俯瞰的に見れば良いことだ。まだ少し余裕があると思って、映画を見たり遠出したりビールを飲んだりしたのがいけなかった。でもこれについて、そうした文化的な要素のない生活が本当に“生活”か?ということを話し出すと、キリがない予感がするし、もう終わったことなので考えても仕方がないのでやめる。上手くやりくりすれば次の入金予定日までには生活できそうなので、上手くやるしかない。ただ、この件は根に持つ。

 

最も好きな映画の一つに「The Negotiator」(邦題:「交渉人」)というのがある。サミュエル・L・ジャクソンが演じる叩き上げの交渉人が自分で立てこもり事件を起こして、ケビン・スペイシー(超好きな役者だ)が演じる冷静沈着な交渉人と激しい心理戦を繰り広げる、という映画で、小学生の時に土曜プレミアムで見て「映画ってこんな面白いんだ」という気づきがあったメモリアルな作品なのだが、これを最近見直した。

ネタバレを知っていても相変わらず面白かったが、今にしてみると事の発端になった事件が結構しょぼくて「警察年金基金の横領」なのである。見直した時は「そんな動機でこんな事件起きる?」と思った。でも今は分かる。俺も日頃から煮え湯を飲まされている保険制度が腐敗したせいで生活が危うくなったら、サミュエル・L・ジャクソンのように立てこもり事件を起こしておかしくない。金は大事だ。本当に。*1

 

金が無いと言いつつ、一昨日は「スパイダーバース」を見ていた。圧倒的なセンスの映像美がものすごい物量で押し寄せてきて、ストーリーもサム・ライミ版のスパイダーマン(これも好きな映画なのだ)を踏襲する形で、全てが自分の好みと完璧に合致していた。すごい。劇場を出た後すぐもう1回見ても構わないと思った。

個人的に大ダメージがあったのが、ドア越しで主人公とその父親が対話するシーンで、お父さんの「お前の人生はとにかく上手くいく」と断言する感じが泣けた。そこからラストバトルに至るシーンもカタルシスがすごかった。そこにピーター・B・パーカーの存在が「第二の父親」という形で見えてきて、人間同士の繋がりの中で人が成長してヒーローになる過程がしっかりあるのってマジで最高だなと思った。主人公から「等身大の男の子」って感じがよく出てたし。これはある意味ではアメコミヒーローっぽくないかもしれないと思った。*2

普段、自分はアメコミヒーロー自体に「一元的なもの」というイメージを持っていて、積極的に見る対象にしていない(多面的なものに真実味を感じるきらいがある)。ゆえに常々スパイダーマンのいいなと思っていたところは、覆面ヒーローゆえの孤独を抱えており、現実と上手く接続できていないところだと思っていた。スパイダーバースではこれに対して、並行世界の同位体がやってきて「お前の辛さ分かるよ」などと言って、SF的な一つの解答を示しているのがよかった。お前には俺たちがついてるぜ!というやつ。めっちゃエモい。

*1:サミュエル・L・ジャクソンの場合は、警察年金の横領を調べていた相棒が何者かに殺され、それを自分の犯行だと一方的に擦りつけられたことでプツンと来ているから、俺よりは少し深刻なのだが。

*2:グウェンが登場したあたりから「これはボーイミーツガール的な展開をするのかな?」と思ったけど、どちらかというと、男と男の友情、男同士の約束という感じになりましたね。父-子という軸でキャラクターを捉えて整理していくと、何か一つ言えること作れそう。